先日、『ユナイテッド93』(United 93)という2006年のアメリカ映画を観る機会があった。


俺は、この映画を見て、涙を流した。


今日は、この映画が描いた「ユナイテッド航空93便テロ事件」と、「勇気」について書いていきたい。



1 ユナイテッド航空93便テロ事件とは


今からもう20年も前になる。


2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生し、ワールドトレードセンターに2機の飛行機が突っ込んだ。


俺は当時は大学生だったが、あの飛行機がビルに突っ込む鮮烈な映像は、決して忘れることができない。


ユナイテッド航空93便テロ事件とは、同時多発テロの発生日に、アメリカのユナイテッド航空93便がハイジャックされ、ペンシルベニア州の郊外に墜落し、乗客乗員44人(テロリスト4人を含む)全員が死亡となったテロ事件である。


そう、同時多発テロのあの日、ワールドトレードセンターに突っ込んだ2機、ホワイトハウスに突っ込んだ1機の他に、ハイジャックされた飛行機がもう1機あったのだ。それが、ユナイテッド航空93便である。


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そして、この飛行機は、自爆テロのためにハイジャックされながらも、乗客らの勇気ある行動によって、標的とされていたホワイトハウスへの墜落は免れ、地上に誰一人の犠牲者を出すことがなかったのだ。


そう、乗客たちが、飛行機を取り戻すためにテロリストたちと上空の機内で命をかけて戦ったのだ。



2 ユナイテッド航空93便で何が行われていたか


この動画を見てほしい。


この動画で、ユナイテッド航空93便がどのようにハイジャックされ、乗客たちはどのようにテロリストと戦うことを決意したのかが理解できる。

●ドキュメンタリー 1/2


●ドキュメンタリー 2/2


●映画のトレーラー



3 乗客は勇気ある行動をした


フライト中にハイジャックが発生してから、乗客や乗員は、携帯電話や機内電話を使い、家族や管制塔に連絡を入れる。


乗客は家族との電話の中で、自分たちが乗るユナイテッド航空93便以外にも、同時進行でハイジャックが発生していることを知り、飛行機2機がワールドトレードセンターに激突した事を知る。


そして、自分たちが乗る飛行機をハイジャックした犯人の目的も、自爆テロに違いないと予想した。


俺は、自分たちの乗る飛行機がどこかに突っ込むだろうという未来を想像した乗客の気持ちを、決して計り知ることができない。


身代金目的のハイジャックであれば、とりあえず目立たずになんとか機内で生き延びることを考えるだろう。


しかし、自爆テロ、である。


100%死亡の未来が予期されたとき、どんな感情・想いを乗客は持ったのだろうか。


とある乗客は妻に対して電話で「心配しないでくれ、我々は何か対策を取るつもりだ」と伝えている。彼以外にも複数の乗客が「今から飛行機を取り戻す」などの言葉を残していた。


しかし、テロリストたちは「爆弾を持ってる」と乗客に伝えていた。


管制塔に対し「皆さん、キャプテンは無事です。我々は爆弾を持っています。無事でいたければ、その場に静かに座っていて下さい」と発言していることから、乗客にも同様に伝えていたことだろう。


つまり、飛行機を取り戻すために行動しなければ100%死亡の未来がある一方で、行動することで爆弾を爆破されたり、テロリストに凶器で殺されるリスクもあるのだ。 


なんという状況だろうか。


それでも、乗客はギリギリの状況で戦略を立て、飛行機を取り戻すためのプランを練る。


女性客室乗務員の1名が、電話で旦那に対し、「犯人たちにかけるためにコーヒーを沸かしている、ほかに何かアイデアはないか」と聞いた記録が残っている。


武器として熱湯をかけるというアイデアを極限の状況で考え、さらに機内から電話で旦那にアイデアを求める、これだけでも最大限頭を振り絞り、限られた条件でどう戦うか考えていたことがわかる。


ここからは、wikipediaから引用する。


9時53分、ハイジャッカーらは乗客の行動を察知してか、「連中が来たら非常用の斧を使え」との会話が記録されている。


9時57分頃、乗客トッド・ビーマーの"Are you guys ready? Let's roll.(用意はいいか?やってやろうぜ)"という言葉が記録されている。


9時58分、ボイスレコーダーに乗客の怒鳴り声や大量の皿などが割れる音が記録されている。


9時59分には乗客がコックピットのドアを叩き壊そうとする音が聞こえ始める。その音に混じってハイジャッカーが「ドアを押さえろ、絶対中に入れるな」と指示している。


10時00分、機体が急降下・急上昇を繰り返す。


10時01分、ハイジャッカーが「墜落させてやる、酸素を止めろ」と指示する。


10時03分、同機は、時速907kmの速度でペンシルベニア州ピッツバーグ郊外シャンクスヴィルに墜落した。


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遺族のみに公開されたボイスレコーダに操縦席のドアが開く音が残されていたことから、墜落直前に男性乗客達がコックピットに進入したと推定されている。



4 勇気とは何か


死の恐怖の中で、状況は勇気ある行動を起こした。


勇気とはなんだろうか。金融日記の主要バッグナンバーから引用したい。


第97号 ソチ五輪と勇気の科学


心理学者のクリストファー・レイト、ロバート・ビスワス=ディーナーのによれば、勇気の条件は次の5つになると言う。


(1) 危険や脅威が存在すること
(2) 行動の結果が確実でないこと
(3) 恐怖が存在すること
(4) 以上の条件があるにもかかわらず、個人が明確な意思と意図を持って行動すること
(5) 倫理的な価値があること


100%の死の危険が存在する極限の状況の中で、自分たちの飛行機を取り戻す行為が成功するかどうかなど全くわからないなかで、乗客たちは明確な決意で、行動したのだ。


2001年9月21日 9時57分、乗客トッド・ビーマーの"Are you guys ready? Let's roll."という言葉で、みな一斉に行動したのだろう。


そして、行動開始から7分後、飛行機は墜落した。なんという7分間だろうか。




5 我々は一体何を恐れているのだろうか?


俺たちはいろいろなことを恐れていて、びびって行動できない。


偉そうに「恋愛工学 ✕ メンタルヘルス」で情報発信している俺も、びびって行動できないことが毎日たくさんある。


否定されるのを恐れ、上司に新しいプロジェクトについて提案することができない。


自分の意見とは違うなとは思っていても、仲間はずれにされるのが怖くて、不本意な追従をする。


英語を話そうと思っても、文法や単語がおかしいんじゃないか、こんな英語では笑われるんじゃないか、と思って英語を話すことができない。


飲み会やイベントに行こうと思っても、場違いじゃないかな、自分には向いてないんじゃないかな、と思って行くのをやめてしまう。


街で見かけた美女に声をかけようと思っても、知り合いにナンパ現場を見られるんじゃないか、女の子にガンシカされて恥をかくんじゃないかと恐れて地蔵する。


女の子と二人でご飯食べに行ったとき、関係が壊れるのを恐れて、ハンドテストできない、キストライできない、セックスに誘うことができない。



俺たちはいつでも恐怖や不安にとらわれて、行動できない。頭ではわかっていても、行動できない。


そんなとき、このユナイテッド航空93便で起きたことを少しでもいいから思い出して見てはどうだろうか。


自分の脳内で勝手に作り出している不安や恐怖というのは、本当に、本当に、ぜんぜん大した恐怖でもなんでもないことが、理解できるだろう。




6 合言葉はLet's Roll


恐怖を感じで一歩踏み出せないとき、心の中で、「Let's Roll」とつぶやいてみよう。


そして、勇気を出して、一歩踏み出して行動してみよう。


それで、あなたが自分に少しでも自信を持って生きることができるなら、それは死んでしまった乗客もきっと喜んでくれるのではないだろうか。


なお、ユナイテッド航空93便には、一人の日本人も搭乗していた。


早稲田大学の学生だった久下季哉(くげ・としや)さんだ。彼は当時、若干20才だった。


彼も、きっと極限の状況の中で、他の乗客とともに戦ったんだろう。



墜落現場には、記念碑がおかれ、9/11には慰霊に訪れる方も多い。

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俺も、本当に自分自身に勇気と自信を持てたとき、墜落現場を訪れてみたいと思った。